楠川技研

楠川の技術研究

12年放置していた株が100倍近くになったので、今後の方針を考えてみた。

ひさびさに証券口座を見てみたら桁がバグってた。
元本に対して評価益がデカすぎる。

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2021年7月の証券口座資産額

 

原因を調べてみると米国株のNvidia約5万円の株が420万に化けたのだ。
Nvidia株を2009年から12年間塩漬けにしておいたことで、ステキな塩梅に。
2009年当時はスマホタブレット黎明期。
ちょうどiPhone3GSが発売された頃だ。
Nvidiaタブレット用SoCを出したので、将来の成長を見込んで約5万円の投資をした。
結果、2021年に驚きの爆上がりをみせた。

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2021年7月時点の証券口座詳細

 

100倍近くになったのは、推測が当たったから?

購入当時、Nvidiaタブレット用SoCを出した。
今後スマホタブレットが成長することを期待して株購入を決意した。
ところが、スマホNvidiaのSoCを使われると異常発熱などの不具合が出て裁判沙汰になる機種も出た。
そんな逆風もあり、NvidiaのSoC大きくは広がらなかった。
NvidiaタブレットスマホのSoCを作って、ウハウハになっていくと想像した未来は外れた。

 

現在は人工知能チップメーカー

しかし現在、Nvidiaの方向性は変化して人工知能のチップメーカーとして、ウハウハになっているようだ。
説明を見ても「人工知能コンピューティング会社」とある。人工知能を売り出す方針を変えたらしい。
https://jp.reuters.com/companies/NVDA.O
株価の時価総額は、将来に、その会社が生み出すと思われている価値の総和と言われている。
人工知能チップメーカーとして将来生み出す価値が、過去の時価総額の100倍あると市場では認めているらしい。

どちらにせよ、タブレット用SoCで儲ける私の推測は当たらなかったことになる。

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ロイター通信より抜粋(2021年11月時点)

 

売り上げの変化は?

2009年当時、私はNvidiaについてGPU以外で話を聞いてない。
恐らくの売上の大半は、GPUで占められていたのだと思う。
売上推移グラフをみると、2008年の売上は40億。

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2008年業績(2009年時点で知れる最新業績)strainer.jpより参照

 

2021年現在、Nvidiaの売上はパソコン用GPUの他に、サーバーの人工知能エンジンや、自動車の人工知能エンジンがあるようだ。
売上全体の価格を見てみると166億で、12年前と比べて約4倍。

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2021年業績 strainer.jpより参照

しかし、時価総額は100倍だ。
将来に生み出す価値は100倍だと市場で認められているようだ。

 

将来の見通しは?

クラウドだ、DXだと騒がれているなかで人工知能チップを作っているNvidia
一見、将来性がありそうだ。
しかし、成長の源泉はどこにあるのかと問われれば一つだろう。
半導体の微細化だ。

 

成長の終焉、ムーアの法則の終焉

GPUなどのプロセッサは、約18ヶ月で約2倍密度になり2倍の性能になってきた。
この性能向上はムーアの法則とよばれている。

 

プロセッサートランジスタで構成されていて、トランジスタの数でおおよその性能が決まってくる。
1971年に発表されたプロセッサートランジスタ数は2300個(Intel 4004)
2008年のプロセッサートランジスタ数は7億7400万個(Intel Core i7)
2021年のプロセッサートランジスタ数は570億個(Apple M1 Max)
1.5年で倍の性能になるので、指数関数的な成長を続けている。

 

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570億個のトランジスタで構成されたApple M1 Max (Appleより参照)

 

今は密度が高くなっているので、配線も非常に細くなっている。
現在の配線の太さは5nmだ。
原子1個のサイズが0.1nmなので、1つの配線の幅に原子50個しかない。
物理的限界は目の前だ。

 

計算上、約8年で50倍

ムーアの法則で計算すると、8年で50倍の微細化が可能になる。
しかし、8年以降もムーアの法則が続いて、原子1個の0.1nm以下で配線が成り立つとは誰も思わないだろう。
原子よりも細かな配線など物理的に不可能で、そろそろ物理的な限界が来るのは明らかだ。
つまり、現在のような成長は10年経たずに終わりを告げるだろう。
Nvidiaはシリコンをメインで使っている限り、持って8年の会社ということだ。

 

将来生み出す価値が、過去の時価総額の100倍あると市場では認めているが、私はそう思わない。
私の出した結論は、Nvidiaの将来は暗い。

 

だが、私の推測は当たらない

グリーン・ニューディールが騒がれていた2009年当時に株を始めた、
太陽光発電と関連していた富士電機
・電気自動車と関連していた明電舎
それぞれの株を買った。
しかし、グリーンニューディール自体が外れた。
考えたつもりになっても、自分の推測は当たらないのだ。
今回のNvidiaは、運良く証券会社のパスワードを忘れていたから塩漬けできていた。
パスワードが分かっていたらすぐに売却しただろう。

 

現在のトレンド

小幡績さんの「すべての経済はバブルに通じる」が面白い。

投資家が集まったときには、リスクテイクバブルが起きると書かれている。
上海同時株安も、リーマンショックも、過去にバブルが弾ける寸前に膨張していたことが示されている。
本によると、その膨張は投資家たちのリスクテイクバブルによるものなのだ。
プロの投資家は、バブルの中のチキンレースでアクセルを踏まされているらしいのだ。
過去と同様、今がその最後のアクセルではないかと疑っている。
現在の世界的株高のトレンドは、プロ投資家たちのチキンレースのおかげだろう。
特にハイテク、IT株中心のNASDAQの傾きが、過去のITバブルと同期しているようで恐ろしい。

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Nasdaq価格推移、Google検索 2021年11月現在

 

世界の経済成長の源泉と、それの終わり

近年の世界の経済成長の源泉は、ITの発達のおかげだと考えている人は多いだろう。
そして、ハードウェア系のIT会社の成長の源泉は、半導体の微細化のおかげだと私は考えている。
その半導体の微細化が止まるであろう近い将来、経済成長は一時的に停滞するのではないだろうか。
一時的な停滞によって、将来への不安感から暴落が引き起こされることを願っている。
その暴落時に備えて、現金を蓄えて暴落した株を買えるようにしたいのだ。

 

というわけで、「自分の推測は当たらない」と疑いながら、Nvidia株を少しずつ売って現金を蓄えて行くことにする。

 

この記事を構想していた2021年7月当時、株価は約200ドルだった。
7月のタイミングで保有株の1/4=約100万円を売ってしまった。
2021年11月現在、株価は320ドルまで上昇している。
今売っていれば、50万円以上得していたはずだ。

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2021年11月22日のNvidia株価

 

やはり、自分の推測は当たらない。
どうしよう。